研修旅行での富岡製糸工場見学のスナップですが、頭上の黄色いバケツが目立っていますね。
これは(株)サイトウ工研の前身、斉藤溶接所の作品で配繭装置(はいけんそうち)です。
映画「野麦峠」にお湯に浸かった繭(まゆ)を運ぶシーンがありますが、その仕事を女工さんに代わってする機械です。
絹の原料は蚕の繭。桑の葉をたっぷり食べた蚕の幼虫はさなぎになる前に糸を吐いて繭を作ります。糸は吐き始めから吐き終わりまで一本につながっています。
さなぎになった頃合いを見計らって、養蚕農家から工場に運ばれた繭は乾燥して一旦大きな倉庫に蓄えられます。それを煮繭機に投入。蒸気を使って煮上げた繭をお湯ごとバケツに移して、糸繰り機に運ぶのがこの配繭機です。
工場内の天井をぐるりと一周するレールにカーブチエン。椿本の製品です。左右だけでなく、上下にもカーブすることができます。昭和45年工事を行いました。
奥の5台の操糸機が1回目、見学コースの4台が2回目の工事でした。
カーブチエンのアタッチメントに等間隔に黄色い枠が付いています。
そしてこの部分が転倒装置。この箱の下の部分がソレノイドコイル。電磁石です。
黄色い枠の両側に付いている感知カムは工場内に9台並んでいる操糸機毎に割り当てられていてこのカムがスイッチを蹴った時ソレノイドコイルに通電されます。すると転倒アームがコンベア側へ飛び出します。
飛び出した転倒アームがバケツに付いた転倒ピンをキャッチ!バケツをコンベアの動きにそってくるりと回せばバケツの中身は受け皿へ、そして糸繰り機に移せるというカラクリです。
見学コースから煮繭機(繭を煮る機械)部分が外れてしまっていて、弊社配繭装置の重要部分「回転シュート」が見られないのはちょっと残念です。
配繭装置は全国の製糸工場40工場以上に納入させていただきました。ちなみに1号機は地元の亀山製糸室山工場です。
配繭装置は登場しませんが、絹糸の出来るまでの動画を御覧ください https://www.youtube.com/watch?v=tx03dNxeLOw